top of page

Our music

 

ファーストアルバムOff White

より

ライナーノーツをご紹介します。

 

 

Off White   オフ ホワイト

ライナーノーツより


1964年2月7日午後1時20分、一機のパンアメリカン航空機がニューヨークのJ. F. ケネディ空港に到着。イギリスを熱狂の渦に巻き込んだリヴァプール生まれの四人の若者が、アメリカに初めて降り立った。ロックの歴史が始まった瞬間であった。ビートルズの世界進出の快進撃はここから始まり、1970年に解散するまでポピュラー・ミュージックの頂点を守り続けたことは周知の通りである。

 

1950年代半ばに、ロックンロールとして誕生した音楽は、ビートルズを経たことで、ただ単に「ロック」と呼ばれる文化へと変貌・進化した。彼らが生み出した「ロック」は、単なるポピュラー・ミュージックの一ジャンルとしてだけでなく、60年代の反体制文化の象徴として、当時のベビーブーマーを中心とする若者の心に定着した。単なる流行として始まったロックが定着したとき、それは文化へと昇華したのである。その媒体となったのが、まさにビートルズであった。ビートルズが1960年代に行った大変革は、それだけに止まらない。

 

60年代初頭のミュージック・ビジネスは、レコード販売よりも興行に主眼が置かれていたが、彼らの驚異的なレコードの販売力と、野球場をも満杯にする無限の集客力により、一挙に旧来のミュージック・ビジネスの枠を楽々と飛び越え、ビッグ・ビジネスへと仕立て上げた。彼らが居なければ、マイケル・ジャクソンの活躍するフィールドもなかったのである。つまり現代のロック・ミュージックの音楽性は言うまでもなく、その精神性と巨大なビジネス・フィールドの枠組み、そしてそれに伴うアーティストの社会的な地位をも築き上げたのがビートルズだったのだ。ビートルズが現在でも多くの人々から愛される理由がそこにある。

 

彼らが永きに亘って愛されてきた理由の一つは、その名曲群にあることは疑う余地がない。数え切れないほど多くのカバー曲を生み出したことがその証と言えよう。現在では、ビートルズ・ファンにとってカバー・ソングは、ビートルズの楽曲の楽しみ方の一つとして定着している。しかし、ビートルズの楽曲は、カバーが最も困難な作品群でもある。彼らの初期のナンバーは、二人の天才、ジョン・レノンとポール・マッカートニーによるボーカルのイメージがあまりにも強く、そのシンプルなアレンジを崩すことは、聴く側、すなわち我々ビートルズ・ファンにとって抵抗感が強いのだ。また中期から後期のナンバーは、完成度の高いアレンジゆえに、新たなアレンジでカバーすることを困難にしている。従って詰まるところ、ビートルズの完全コピーをするか、あるいは本当にセンスのよいアレンジを施して、全く別の楽しみ方をするかのどちらかの方法しかないのだ。

 

さて、そこで本作だ。このアルバムは後者のカバーに属するものである。非常にセンスのよいアレンジで、ビートルズの楽曲に新たな息吹を吹き込んでいる。実は高度なアレンジを行っているのだが、それを感じさせない玄人っぽさが随所に光っているのだ。それもそのはず、このプロジェクトを推進した冬野竜彦氏はただ者ではなかった。冬野氏こそ、1990年代半ば、日本にユーロビートの一大ブームを巻き起こした先駆者、セカンド・ファンクション(2nd Funk-tion)その人である。セカンド・ファンクション時代は、打ち込みによって制作が為されていたのだが、今回はその真逆のアプローチが為されている。というのも打ち込みを一切排除した制作方法を採っているのだ。何しろ曲中で、クリック音に聞こえるものでさえ、本物のメトロノームを使用したと言うほどの徹底振りだ。実はこの冬野氏、本職はレコーディング・エンジニアである。avexのチーフ・エンジニアという経歴を持つベテランでもある。と同時にドラムス、ギター、キーボードを弾きこなすマルチ・プレイヤーでもあった。今回はそのスキルがアレンジに十分に活かされている。そして冬野氏が集めた腕利きの仲間達によって結成されたのが、このAzlightというバンドである。

Off White  

 

I want to hold your hand

Here There and Everywhere

Lady Madonna

Across the Univers

In my life

All my loving

Something

Drive my car

 

 

ライナーノーツ

根木正孝さん

 

ビートルズの初日本版CDも根木さんがライナーノートを手がけています。楽器メーカーのフェンダーにも在籍していた根木さんは音楽業界多方面に信頼厚く、ミュージシャンから愛されるお人柄。特にビートルズには造詣が深く、どこまでも言葉はつづく。

 

 

 

bottom of page